小説『アリスとテレスのまぼろし工場』のあらすじ・感想・評価をネタバレあり・なし両方でレビュー!

小説『アリスとテレスのまぼろし工場』のあらすじ・感想・評価をネタバレあり・なし両方でレビュー!読むべき?おすすめ?
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みなさんこんにちは! 小説などのレビューを行っている旅狼のレビュー小屋です!

今回は、岡田麿里さんの『アリスとテレスのまぼろし工場』をご紹介していきます。

『アリスとテレスのまぼろし工場』は、『あの花』こと『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の脚本を手がけた岡田麿里さんがみずから書き下ろした、新作劇場アニメです。この本はそんなアニメ映画の原作小説となります。

映画自体は2023年9月15日(金)公開ですが、ひと足さきに原作を読んでみたので、今回のブログではその感想を、ネタバレなしとありに分けてご紹介していきます!

【追記!】映画も無事公開され、早速見てきましたよ! 詳しい感想や評価はコチラ!


『アリスとテレスのまぼろし工場』のあらすじと感想

『アリスとテレスのまぼろし工場』の内容と感想

まずは、『アリスとテレスのまぼろし工場』のあらすじや内容、気になる感想についてお話ししていきます。

あらすじ

製鉄所の爆発事故により出口を失い、時が止まった町で暮らす中学3年生の正宗。変化を禁じられ鬱屈した日々を過ごす中、謎めいた同級生の睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこにいたのは喋ることのできない、野生の狼のような少女——。正宗と2人の少女の出会いは、世界の均衡が崩れるはじまりだった。止められない恋の衝動が行き着く未来とは。

Amazon アリスとテレスのまぼろし工場

率直な感想と評価(ネタバレなし)

『アリスとテレスのまぼろし工場』の感想・評価_ネタバレなし

まずは小説版『アリスとテレスのまぼろし工場』の感想と評価を、ネタバレなしでお話ししていきます。

映画公開に先駆けて文庫化された一作品ですが、正直、しょーうじき、「こんなものか…」という残念な気持ちの方が強いです。自分の中では、ここ数年で読んだ本でもワーストに入る勢いです。。(ブログにはまだ書けていませんが、ここ最近深い作品や名作ばかり読んでいたということもありますが…。)

「時が止まった町」という設定自体はおもしろいですが、ご都合主義、とまでは言いませんが、筋が通っていないというか、お話がしっちゃかめっちゃかってかんじでした。「結局この作品は何を描きたかったのだろう」という感覚です。

自分の中では、小説でも映画でもアニメでもドラマでも、「とりあえずその物語がただただ面白い」というパターンか、「うまく言葉で言えなくても、”物語としてこういうことが言いたい”とか”こういう世界を描きたい”ということが感じられる」パターンのどちらかに分けられると思っているのですが、残念ながら『アリスとテレスのまぼろし工場』はそのどちらにも該当しなかったというかんじ。

本の表紙の絵の雰囲気や物語の進み方だけ見ると、なんだか綺麗でおもしろそうな外見をしているけれど、蓋を開けてみたら中はぐちゃぐちゃ、あるいは、全然中身が入っていない、そんな感想でした。

まあそういう意味では、アニメ映画でこれがどのように映像化されるのかが楽しみではありますが…!


ネタバレありの感想と評価

ではここからは、ネタバレありで感想をお話ししていきます。ネタバレなしの状態で本を読んでみたい、映画を見たいという方は、この先は見ずに早速作品の世界へお入りください!

※ここから先は『アリスとテレスのまぼろし工場』のネタバレを含みます。

『アリスとテレスのまぼろし工場』の感想・評価・あらすじ_ネタバレあり

正宗と睦実たちが囚われた世界は時が進まないまぼろしの世界で、そんな世界に、現実の正宗と睦実の娘である五実が迷い込んでしまい、心が動いてしまった、変化してしまった。それによって、まぼろしの世界が現実の世界に呑み込まれていってしまう。

正宗は世界の”割れ目”から、五実(沙希)を失った現実世界の自分たちを見て、「どこにも行けない」という物理的に囚われたまぼろしの世界でも、自分がどう生きるかちゃんと向き合うだけで心は自由に生きていける、対して現実の世界は、物理的にはどこにでもいけるが過去に心が囚われてしまっていると気づく。その対比はとても印象的だったし、確かに響くものはありました。

でも、響いたのこの1シーンだけで、他は「なんかすごい世界ですごいことが起きている感」があるだけで、僕には全然感じられるものがありませんでした

子供達の行動原理はまだ描かれていたのでわかりましたが、大人たちの行動原理やその背景は描かれていなさすぎてよくわかりませんでしたし、まぼろしの世界の他の住人たちも、一度はやけになったと思ったら急に「自分達は生きていく」と一致団結したりと、一貫性に欠けるものがありました。上に”ご都合主義というわけではない”と書きましたが、、やっぱりご都合主義に思えてきたな。。笑

何より個人的に一番解せないのは、『アリスとテレスのまぼろし工場』という題名です。アリスもテレスも出てこないのです! 途中まで出てこず、それでも最後の最後で出てくるのかと思っていたのですが、、結局何も出てこなかった。。。

アリストテレスが「希望とは、目覚めていて抱く夢のことをいう。」という名言を残しているらしく、作中でもその話に一度だけ触れるタイミングがあったのですが、もしこれだけからタイトルを取っているのだとしたらさすがに気取り屋すぎやしないかい、と感じずにはいられません。

「アリスとテレスが主人公の睦実と正宗のことなんだろうなぁ」とか、「まぼろしの世界でも希望を抱けば、それは目覚めていることを表しているんだ、生きていることを表しているんだ」とか、そんなことを言いたいのかなぁとは思いますが…。さすがに無理くりすぎる気がするのですよね。印象的なタイトルを付けたかっただけじゃないか、って自分は思ってしまいました。

ちなみに、物語の最後の締め方だけは、とても自分好みだったなぁとは感じています。


『アリスとテレスのまぼろし工場』はこんな人にオススメ

『アリスとテレスのまぼろし工場』はこんな人にオススメ!感想・評価・あらすじ_ネタバレなし・あり

ここまでの感想から、個人的にはこんな人に小説版の『アリスとテレスのまぼろし工場』はオススメしたいと感じました。

・『あの花』を書いた方の作品が読みたい方
・劇場映画の『アリスとテレスのまぼろし工場』が気になっていて小説を読むのが好きな方


『アリスとテレスのまぼろし工場』の名言

「俺は笑うことも、泣くことだってできる。この世界でだって、本当はいくらだって自由になれたんだ……だけど、現実の俺達は違う。どこにだって行けるのに……気持ちだけ、どこにも行けない毎日を送ってる」

p206


『アリスとテレスのまぼろし工場』の基本情報

小説『アリスとテレスのまぼろし工場』_作者・ジャンル・出版社・感想・評価

最後に、『アリスとテレスのまぼろし工場』の基本情報です。

【著者】
岡田 麿里

【作品ジャンル】
劇場アニメの原作小説

【出版社】
角川文庫


まとめ

ということで今回は、岡田麿里さんの『アリスとテレスのまぼろし工場』のブックレビューをお届けしてきました!

色々ネガティブなことを書きましたが、こう考えると、今まで読んできた本たちがいかに良い本なのかが改めてわかりました。。笑

とはいえ、アニメはアニメで調べたら結構気になるのも事実です。声優キャストの豪華さとか今話題の『呪術廻戦』も制作しているMAPPAの制作とか、何より主題歌に中島みゆきとか、力の入りようはすごいと思います。なので、映画も見にいってみて、この原作小説との違いや、小説では感じられなかった”何か”を感じられることができたら嬉しいな、と思っています。

映画もみたら感想をこのブログに書いていこうと思いますので、気になる方はぜひそちらも読んでみてくださいね!

映画『アリスとテレスのまぼろし工場』のレビューはコチラ!


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